いいものをつくって、 きちんと手入れして、長く大切に使う
建築の長寿命化を研究テーマのひとつにしています。建物の寿命には、材料劣化や地震などに対する安全性確保といった構造的課題、使い勝手や用途変更などの計画的課題、維持管理コストや税金といった経済的課題、そして建築基準や都市計画などの法律・制度的課題等々、実に多く要因が関係します。建築は、非常に多面的な学問です。様々な分野の知識を積極的に吸収し、全体を総合的に捉える姿勢が求められます。近年、古い建物を保存・再生し活用する取り組みが増えています。スクラップ&ビルド型社会からストック重視型社会への転換が図られている現在、「いいもの」とはどういうものなのを知り、「きちんと手入れして」いくために必要な技術やしくみを考え、「長く大切に使う」ことによって真に豊かで成熟した環境をつくる。時間の経過とともに醸成される建物の歴史・文化や使う人の愛着、景観上の価値といった多様な側面を十分汲み取りながら、単なる延命措置ではない、建物がよりよく歳を重ねていくための研究をしていきたいと考えています。