2024年4月から1年間の予定でアメリカに研修に行っている福屋粧子教授から、現地での活動報告がありました。
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皆さん、こんにちは。建築学部の福屋です。
研修員制度で、アメリカ・ロサンゼルスのUCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)のテラサキ日本文化研究センターの研究員として、1年間アメリカに滞在しています。
私の専門分野は建築デザイン・設計と建築の歴史です。この一年はアメリカに滞在しながら、北米(アメリカ国内とカナダ)・中米(メキシコなど)・南米(ブラジルやチリ)などに1週間程度の調査旅行をして、1800年代以後の世界の建築の歴史を再発見していっています。アメリカ国内の建築は、現存する最も古いもので1670年代に遡り、1920年ごろのアールデコ建築も多く保存(ヘリテージ)され、1940年代のカリフォルニアモダン住宅も民間によって保存されています。一方、デジタルデザインや3DCADを駆使した2000年以後の建築も活発に建設されています。
UCLA AUD(都市建築学部)の教育では、造形とデタルデザイン、都市分析、ダイバーシティ(民族文化や性差の多様性)が大切にされていると感じました。
ロサンゼルス(Los Angeles=LA)は日本人ととても近い関係にある街で、最近は野球のメジャーリーグで大谷翔平選手が大きな話題となっていますが、LA人口の約2%が日系人で、大きな日本人街があります。私の受け入れをしてくださっている阿部仁史先生も、2008年からUCLAで教鞭をとっていますし、学部問わず日系の先生も多いです。(逆に建築学部に日本人留学生がほとんどいなかったのは驚きました。)
日本人街は、駅に近いリトル・トーキョーと郊外のトーランス地区に分かれています。先日、東日本大震災からの復興活動をきっかけにネットを通じて偶然繋がったブラッドリー・ハモンドさんにリトル・トーキョーを案内してもらいました。ドジャースタジアムに大谷を観に来た日本人観光客もよく大きな壁画を見ていますが、ブラッドさんのはもうちょっとディープなツアーで、我々も飛び込みで歴史研究会に参加させてもらいました。ブラッドさんは石巻にインターンとして研修に来て、その後も日本や東北とアメリカの交流支援をしている、日本語が堪能なアメリカ人博士課程学生です。彼の研究テーマはリトルトーキョーの形成史、現地に残された資料をもとに誰も書いたことのない通史をテーマにしたいということでした。
日本国内で建築やデザインの歴史を話している時には、国内の出来事や関係のみを追いかけてしまいますが、今の私たちが海外からの影響を受けている(例えばアメリカ製のコンピュータとソフトを使う、中国製の携帯電話を使うとか)ように、昔も実際には、歴史的な、また歴史に埋もれた多くの国際交流があったことを、現地であらためて感じます。
サンパウロ・ブラジリア・メキシコシティ・NY・シカゴなど、訪れる場所で建築に関係する新しい友人、古い友人と会って話すと、知らなかった日本建築と世界各国のつながりが発見でき、興味は尽きないです。
研修は半年が過ぎて、あと半分となりましたが、建築の歴史を海外から振り返る機会を大切にして過ごしたいと感じます。
もっと南北アメリカ横断研修の話を聞きたい方は、インターネット配信 シラスの「建築系勝手メディアver.3.0」で10月5日に「南北アメリカ建築紀行」的な話をしますので、良かったら聞いてみてください。
https://shirasu.io/c/kenchiku
福屋粧子