中原大学(台湾)留学便り_02(建築学科4年 佐藤 毅)

台湾へ来て1ヶ月が経過しました。毎日充実した時間を過ごしているので長いようで、とてもあっという間の1ヶ月だったように思います。
こちらでは中原大学の曾先生の研究室にお世話になっており、週1回のエスキスに向けて卒業設計を進めています。

普段の生活は中原大学の学生寮で過ごしており、ルームメイト2人を含む3人が1つの部屋で生活を送っています。この寮の特徴は様々な学科の学生が同じ空間で生活を送っていることです。特に建築は建築学という分野を超えて、様々な分野の知識から新しいものを生み出す可能性に秘めています。その点ではこうした日々の生活の中で様々な知識に触れ、お互いが刺激し合える環境はとても良いと思いました。

1ヶ月前、台湾桃園国際空港に着いた時のことを思い返してみると、まずバイクの多さに驚いた印象があります。留学前に台湾のことを勉強するため、雑誌を読んだりして知ってはいましたが実際に見ると写真以上の迫力がありました。また、駐車場がほとんどないそうで道路の脇にバイクや車がたくさん駐車してある光景が日本との違いを感じさせました。中原大学の学生は、これは良くないことではあるけど台湾らしさでもあると教えてくれました。

こうした文化の違いは街の様子も大きく変えます。中原大学は街の中心にあり、街と大学がとても近い距離感にある印象を受けました。中原大学の正門はどこからが大学でどこからが街なのか一見よくわかりません。その距離感の近さは大学に活気を生み出しています。中原大学は総合大学なので、とても多くの学生がおり、キャンパスも1ヶ所に集中しているため敷地も広く、平日の昼間は特に活気があります。それはどこの大学でも見られる光景ですが、休日のキャンパスの様子に驚きました。休日は学生ではなく街の人々が大学の中で時間を過ごしており、平日とは違った活気を生み出しています。大学内で行われる様々なイベントに訪れたり、大学を公園のように使ったりして家族で過ごしている光景がとても印象的でした。台湾では道路が自動車やバイクを中心に整備されていることが多いそうです。大学の近くには大きな公園とかを見かけなかったので子供を安全に遊ばせたいという気持ちと大学の空間が生み出した光景ではないかと感じました。

台湾には外食文化があり、多くの場所で夜市という食の市場が開かれています。中原大学のすぐ近くにも夜市があり、18時を過ぎると昼間とは景色が一変します。道路沿いに多くの屋台が立ち並び、人と店がとてもオープンな関係になります。バイクから直接ドライブスルー形式で注文する人もいて驚きました。こうした文化があるためか台湾はオープンなお店が日本に比べて多いと感じました。オープン過ぎて歩道を歩いていると知らない間に店の中を通過していることもあります。また、持ち帰りする人も多いので飲食店のゾーニングも日本とは違う印象を受けました。地元の人が通うお店は基本的に厨房が手前にあり、席は奥にあります。厨房は半屋外空間で席は屋内になります。こうした建築のあり方は都市の中の人の生活に活気を与えるとても魅力的なものであると感じました。

人と建築の関係は台湾の人の人間性にもとてもよく現れていると感じました。ある日、バスに乗っていると乗客が何やら運転手さんと楽しそうにお話しをしています。知り合いなのかと思えばどうやら違うよう。こうした光景を度々目にして台湾の人は近い距離感にあると感じました。寮でもみんなとても仲が良いし、建築学科の学生は同じクラスの人みんな家族同然だと言っていました。日本では同じ学年でも話したことがない人がいると言うと驚かれたくらいです。それにみんなとても優しいです。台湾に来たばかりの私たちに大学での生活のことだけでなく、一緒に食事をしたり、台湾の建築の案内などもしてくれます。

台湾での生活は、建築のあり方と人間性など様々なことを考えるきっかけを与えてくれます。私の卒業設計のテーマも台湾の文化に触れることで決めることができました。残りの留学生活1ヶ月を切りましたが、もっと多くの友達を作ってたくさんコミュニケーションをとり、建築以外のことを学んだり、英語や中国語などの語学力を身につけられるように悔いのない生活を送りたいです。(佐藤 毅)

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休日のキャンパス
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夜市の様子
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