木材を繊細に刻み、適材適所に組み立て、美しく仕上げる日本建築は優れた「木の文化」の宝庫です。民家、数寄屋、寺社など歴史的建造物のフィールドワーク、伝統を受け継ぐ匠たちの技法調査、伝統素材の生産の記録化、そして図面や古文書などの史料調査を通して、日本建築の価値発見に取り組んでいます。
地域のシンボルとなっている文化財建造物の保存修復も建築史の役割です。数百年に及ぶ寿命をもつ木造建築を伝えるには、定期的な保存修復が不可欠。ときには、その建物が歩んだ歴史を丹念に調べ、最も文化的価値がある姿へと蘇らせます。文化財建造物に限らず、地域の身近な歴史ある建物を活かし、まちの価値を高める取り組みにも、歴史を読み解く力が有効です。
建築史は工学のなかで、とても文系的。だからこそ自分の得意なアプローチから力を発揮できる分野です。建物を丹念に観察し、写真を撮り、実測すること。住まい手や職人たちへのヒアリング、図面や文献の分析など、いろいろな調査手法があります。