まちを読み解く力をみにつける
まちづくりとは、どのようなことなのでしょうか。とくに、これからのまちづくりでは、新たにものをつくることよりも、今あるものを活かしてゆくことが求められています。では、活かすためには何をする必要があるのでしょうか。いま何があるのかを知る必要があるわけです。いま何があるのか、そして、それらはどのような過程を経て現在に至るのか、これを知らずしてまちづくりは達成されません。まず、まちにあるタカラ探しから始めましょう。これは、研究・設計提案の両者にとって必要不可欠なプロセスです。
今あるもの・まちのタカラ、この代表例である地域に現存する伝統的な民家やその周辺環境は、幾年もの知恵と工夫の積み重ねによってつくられた機能美をかね備えた素晴しいデザインの集合体です。これらの価値は、長年の調査・研究の蓄積により見直されつつあり、人々の営みがつくりあげた地域固有の景観そのものが評価されるようにもなってきました。一方で、その価値が再確認されないまま、消失しているものも少なくありません。私は、まちのタカラである「地域資源」のデザインを保全・継承してゆくための基準を社会に提示することを目指し、調査・研究を行なっています。また、地域資源をみつけ、その価値を再確認する作業だけでなく、地域資源を次世代の地域計画・景観計画、まちづくり、および空間デザインに活かす道をより積極的に探ってゆきたいと考えています。
地域固有の環境デザインを次世代に継承すること・・・
地域固有の環境デザインを次世代の地域計画に生かすことを主な研究テーマとしています。とくに歴史的環境・文化的景観をいかしたまちづくりに力を入れています。また、地域資源を再発見することを目的に、伝統的な町並みや農村の景観保全・景観計画について研究を続けています。その一環で、伝統的な民家や集落の調査を行なっています。